1月からソウル拘置所に勾留されていた尹大統領が釈放されました。
しかし今後も弾劾裁判の判決や刑事裁判が控えており、復帰できるのかはまだ不透明な状況です。
この記事では、尹大統領の就任以来、日韓関係に訪れた変化について振り返ります。
就任後すぐ日韓関係改善に取り組む
尹大統領はかつて文大統領に抜擢されながら、政権の不正を捜査して追放された経歴の持ち主です。
正義感の強い堅物という印象しかなかったため、個人的には指導者としてそれほど期待していませんでした。ところが時間がとともに、これまでのどの大統領より常識的で、対日観がまともであることがわかってきました。
就任早々日本との関係改善の意志を明らかにし、積極的に外交機会を持つ努力をしながら、これまで一度も反日を政治利用していません。
岸田前首相とは12回会談を行っており、両国首脳のシャトル外交も約12年ぶりに再開されました。
日本はもう謝らなくていい
尹大統領の対日姿勢は前政権の対抗姿勢から一転し、「普遍的価値を共有し、共同の利益を追求するパートナー」として、未来志向的な協力関係を築こうというものです。
3月1日の独立記念日や8月15日の光復節の演説においても、かつての日本統治に対する責任や謝罪については触れず、過去の問題よりも今後の友好関係に重点が置かれています。
さらに2023年4月のワシントン・ポストとのインタビューでは、「日本が100年前の歴史のためにひざまずく必要があるとは考えない」と語ったり、閣議の中で「日本は数十回にわたって反省と謝罪を表明した」と述べたりもしました。
そのため野党などから大きな反発を受け、親日屈辱外交と非難されたりしています。
徴用工問題と慰安婦問題への対応
尹大統領は徴用工問題に関して、韓国の財団が民間の寄付により賠償金を支払う政府案を発表し、日本企業に求償権を請求せず自国で解決する姿勢を示しました。日本では評価されたものの、韓国内では徴用工らや市民団体の反発も強く、依然として課題は残されています。
慰安婦問題については、前政権のような積極的に追加の謝罪や賠償を求める姿勢は見せていません。
そのことに対し、被害者団体や一部世論からの非難もあります。
韓国社会にはナショナリズムと反日感情を刺激して、政治的な利益を得ようとする勢力が存在します。
尹大統領は以前、自分までが国内政治に利用しようとするなら、大統領としての責務を裏切ることになると語っています。
韓米日の軍事的安全保障協力を強化
尹政権は、規模を縮小していた米韓合同の軍事演習を正常化し、大規模合同軍事演習も再開させました。
また、日韓のGSOMIAを正常化させ、北朝鮮の核・ミサイル問題に対応するため、韓米日の軍事的安全保障協力にも合意しました。そして2024年6月には韓米日による定例の共同訓練も始まりました。
2023年10月、中東情勢が緊迫した際には、韓国軍の輸送機に日本人51人を同乗させ、イスラエルからの退避に協力しました。韓国政府は人道的配慮から提案したとし、韓国内からは称賛の声、日本からは感謝の声が寄せられました。
変わり始めた対日認識
尹大統領の対日姿勢を反映してか、歴史教科書の日本に対する記述にも変化が見られます。
2025年から新たに採用される一部の教科書では、慰安婦についての直接的な表現が縮小されたり、日帝による産米増殖計画の記述からも、収奪という表現が消え、「日本へのコメの輸出は正当になされた」という内容に改正されたりしています。
また2023年10月、尹大統領が「韓国孤児の母」と呼ばれる日本人、故・田内千鶴子さんの業績をたたえる式典に参加し、謝辞を伝えたというニュースが流れました。田内千鶴子さんは戦前から戦後にかけて、韓国人の夫と共に、そして夫亡き後も生涯約3,000名の韓国人孤児を育てた日本人女性で、このような形で報道されたのは、今までにない変化を感じさせる出来事でした。
私は人に忠誠せず国民に忠誠する
大統領候補受諾演説でそのように語ったとおり、尹大統領は私利私欲やポピュリズムではなく、国と国民のために政治を行う指導者に思えます。
弾劾問題では、国を危機から守るため自己犠牲も厭わない姿を見せ、多くの国民から熱烈な支持を得ました。
政権に復帰することができれば、日韓関係も更に改善していくことが期待されます。